【徹底解説!】ベートーヴェン ピアノソナタ「月光」第三楽章 難所の練習方法

静かで神秘的な第一楽章、可憐で可愛らしい刹那的な第二楽章に続き、
この第三楽章は、今まで秘めていた感情を爆発させるような、のっけから激しめの曲です。

嵐を起こして全てを吐き出す!といった感じの最終楽章。
ぜひとも劇的に弾ききりたいですよね。

こんにちは、こまるほまるです。

私はこの曲を弾くと興奮し過ぎて、左手がぐちゃぐちゃになります。(後述するアルベルティバスの部分です。。)

演奏時、(興奮のあまり)つい我を忘れがちになるこの曲、いつもつまずいてしまうあの部分、もっと冷静に弾けるようになりたいものです。

以下は、ベートーヴェン ピアノソナタ「月光」第三楽章を演奏する上で、難所をどう克服していくかを私自身の備忘録として記したものになります。

では冒頭部から順にみていきましょう。

【徹底解説】ベートーヴェン「月光」第三楽章 難所と練習のポイント

冒頭2小節の右手のアルペジオ

ノンレガート気味に滞りなくクリアに弾くところです。
そのためには、音同士が決してくっつかないように、打鍵後すぐに次の音に重心が移るよう指を良く動かす必要があります。

黒鍵と白鍵が入り混じってデコボコした鍵盤上を、
音の粒を揃え、ムラにならないように弾くには、
アルペジオを2音、3音、4音ずつに分解してスムーズに弾けるまで反復練習、もしくはリズムをつけて反復練習で慣らしましょう。

9小節〜 右手の16分音符

メロディーラインの親指に重心をかけつつ、親指と対になる指は軽く置く程度で鍵盤からあまり離れないように弾きます。

手首を軸にして左右にシーソーするイメージです。
親指側の方がだいぶ重いシーソーです。このときは十分に脱力してください。

早く弾くと手をブルブルと振っているような感覚になるのが理想です。

21小節〜 左手のアルベルティバス

アルベルティバスとは、単音の例えばドソミソような音形を高速で繰り返す伴奏のことです。

うまくビート感を醸し出すためには強弱の差をつけ、親指は置くだけのようなイメージで弾きます。
例えば、ドソミソを強・弱・中強・弱と差をつけて弾き、ドとミという変化する音を強調させるとビート感が出ます。

1小節ごとに和音で弾くこともおすすめです。
和声の移り変わりを知ることで演奏の際に強調すべき音(変化する音)が自ずと解るようになります。

また、アルベルティバスは頭で理解しながら弾くというよりも、反復練習などで体に覚えこませて弾く方が失敗しにくいです。

30、32小節目 トリル付きオクターブ

はじめは弾きにくい部分です。特に手が大きくない方ならなおさらです。
トリル部分のオクターブは慣れるまで上の音だけを弾いてトリルがスムーズになったら下の音を追加する、という練習方法で乗り切りましょう。

35小節〜 右手の親指をくぐらせる

この親指くぐりをスムーズに弾くにはハノンの32~36番が良く効きます
ただし、このハノンは無理すると手を痛めたりしますのでゆっくりとしたテンポで慣らしていってくださいね。

87小節〜 左手のトレモロ

手が疲れないように工夫して弾きたいところです。

肩をどすんと落とし、腕はダラーンと脱力状態で左手はオクターブの位置に置きます。
手首を軸にしてシーソーのように左右に半回転運動を繰り返します

ここでもアルベルティバスと同様に親指はあまり鍵盤から離さず、控えめに置くように弾きます。
親指を押さえたままで小指のみ打鍵する練習も効果的ですよ。

92小節〜 スタッカートで和音を素早く弾く

手首にスナップを効かせて弾きます。

2音、3音、4音ずつに分解して、素早く弾く反復練習、もしくはリズムをつけて反復練習することで正確に音を刻むことができます。

163小節〜 両手で交互にジャラーン

ゴチャついた譜面に惑わされないように

よく見るとオクターブ違いで同じ音形を分散しているだけです。左右で構成音も同じ。左右の違いは始まりの音だけです。

196小節〜 左右のユニゾン

ユニゾンとは、左右でオクターブ違いなどの同じ音を同時に弾く音形のことです。

ここは右手でさんざん弾いてきたアルペジオを両手で弾くという初めての試みです。曲のラストなので華々しく響かせて締めくくりたいですね!

両手ではじめは4音ずつ、分解して合わせていきます。
慣れてきたら8音ずつ、一小節ずつ、と長くしていき、最終的に通しで弾けるように持っていきましょう。

まとめ

いかがでしたか。

この曲は難易度的には決して易しくはありませんが、よくよく全体を観察すると、結構同じテクニックの繰り返しばかりということに気づけたのではないでしょうか。

アルベルティバスやトレモロなども、基本形を指に覚えこませるぐらいじっくりと練習すればそれほどハードルは高いものではなくなると思います。

ぜひともこの第三楽章をマスターし、ピアノソナタ「月光」を第一楽章から通しで演奏できるようになってくださいね!

この記事があなたの練習の一助となれば幸いです。

それではまた別の記事で。
こまるほまるでした。